腹八分目

ボーイズラブ(BL)作家・久我有加のブログです。

『片恋の病』特典情報

8月10日頃発売予定の『片恋の病』(新書館ディアプラス文庫)の特典の情報が、ディアプラスさんのサイトに載っています。
もしよろしければチェックしてやってください。


拍手や拍手コメントをくださった方、ありがとうございました。とても嬉しかったです!
次は『片恋の病』の番外編SSを更新する予定ですが、発売日より遅れると思います…。
前回に引き続き申し訳ありません。
ご興味を持たれましたら、覗きに来てやってくださいませ。
よろしくお願いいたします。










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新刊のお知らせ

8月10日頃に『片恋の病』(新書館ディアプラス文庫)が発売予定です。
イラストは、イシノ アヤ先生です。
新書館さんでは久々の書き下ろし文庫で、芸人シリーズです。

今回の主人公は漫才師です。こちらも随分と久しぶりです。
ガーッ! ときたモエを、ダーッ! と書き綴りました。
これ1冊でもわかる独立した内容になっていますので、芸人シリーズを未読の方も、ぜひお手にとってやってください。
どうぞよろしくお願いいたします。


拍手や拍手コメントをくださった方、ありがとうございました! とても嬉しかったです。
相変わらずのまったり更新ですが、またぜひお越しくださいませ。










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一カ月!

知らぬうちに、前回の更新から一カ月以上が経っていました…。
お久しぶりです。生きています。セパ交流戦を楽しんでおります。


拍手や拍手コメントをくださった方、全く更新がないのにお越しくださった方、ありがとうございました。とても嬉しかったです!
またお時間がありましたら、覗いてやってくださいませ。










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番外編SS更新しました

『初恋列車』の番外編SSを更新しました。
随分と遅くなってしまって、申し訳ありませんでした。
お楽しみいただけたら幸いです。

気が付けば、プ●野球のペナントレースが始まり、大相●五月場所も始まり、孤●のグルメ シーズン6も始まっていました…。この調子だと、あっという間に夏の甲子園が始まりそうです。時間の流れの速さが怖い今日この頃。

拍手や拍手コメントをくださった方、ありがとうございました! 励みになりました。とても嬉しかったです。
マイペースにもほどがあるのんびり更新のブログですが、お時間がありましたら、またぜひ覗いてやってくださいませ。










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甘い朝(『初恋列車』番外)

拙著『初恋列車』の番外編で、雪輪視点です。
それでもいいよ、という方はどうぞ。



 ふと目を開けると、視界に飛び込んできたのは艶やかな黒髪だった。すうすうと健康的な寝息が聞こえてくる。それに温かい。
 ああ、そうか。昨夜、つむ君と一緒に寝たんだった……。
 腕の中で無防備に眠る恋人に愛しさが込み上げてきて、雪輪は紬の頭にそっと口づけた。熟睡しているのか、起きる気配はない。Tシャツの襟ぐりから見え隠れする赤い印は、昨夜、雪輪がつけたものだ。
 遮光性のカーテンの向こう側は既に明るかった。が、起きる時間には少し早いようだ。肌に触れる空気はわずかにひんやりしていて、秋の気配を感じさせる。
 紬と恋人になって約五ヶ月。昨日は土曜日で、バイト先まで紬を迎えに行った。戸を開けて視線が合うと、彼はいつもパッと顔を輝かせる。その表情がたまらなくかわいくて、戸を開ける前からにやけてしまう。
 紬と初めて出会ったのは幼稚園のときだ。航太に悪口を言われて泣いていたところに声をかけてくれたのが紬だった。どうしたの? と問われて驚いて顔を上げると、男の子が立っていた。特別整った顔立ちではなかったが、くりっとした真っ黒い瞳がなんとも言えず可愛らしかった。人と接するのが得意ではないらしいのに、一生懸命話しかけてくれたのが印象的だった。
 紬は雪輪の名前を褒めてくれ、花が好きなこともかっこいいと言ってくれた。その真剣な眼差しと真面目な口調から、彼が本心から称賛してくれているとわかって、驚くと同時に嬉しかった。それまでにも周囲に褒められることは少なからずあったが、彼ほど熱心に、心からあふれ出たとわかる言葉をくれた人はいなかった。
 お気に入りだというハンカチで紬が涙を拭いてくれたとき、胸の中で熱いものが弾けたのをはっきりと覚えている。
 あのとき、僕は恋に落ちたんだ。
 鉄道好きの紬はあらゆることを鉄道にからめて話したが、少しも気にならなかった。なにしろ鉄道の話をするときの紬の瞳はキラキラと輝いていたからだ。そのキラキラは眩しいほどで、見ているだけでドキドキした。なんてきれいなんだろう! なんてかわいいんだろう! 愛らしい花はたくさん見てきたが、そのどれよりも瞳を輝かせる紬は可愛らしかった。
 もちろん、ただキラキラする瞳だけを好きになったわけではい。安易に他人のせいにしないまっすぐなところ、人の気持ちがわかる優しいところ、そして不器用で真面目なところにも惹かれた。
 その熱い想いは東京と大阪に離れ離れになった後も育ち続け、十八歳になる今日まで一度も揺らがなかった。
 想いが成就した今も、微塵も揺らいでいない。
 これから先も一生、揺らぐことはないだろう。
「ん……」
 小さな声を漏らした紬が、腕の中でもぞもぞと動いた。雪輪の胸元に額を擦りつけ、安心したようなため息を落とす。
 ああ、かわいいな。
 その上、たまらなく色っぽいと知ったのは恋人になってからだ。
 明日、列車に乗ると言われたので触るだけにしたが、雪輪の愛撫に素直に反応して喘ぐ様は扇情的で淫らだった。雪輪君、好き、好き、とくり返し甘く囁かれ、危うく触る以上のことをしてしまいそうになった。
 鉄道にしか興味がなかった紬と恋人になれたのは、本当に奇跡のようだと思う。
 嬉しくて幸せで、思わずぎゅっと細身の体を抱きしめると、んむ、と紬が声を出した。
「なに……?」
「あ、ごめん、起こしちゃったね」
「ゆきわくん……?」
 掠れた声で呼んだ紬は、こしこしと目をこすった。かふ、と小さく欠伸をして、またこしこしと目をこする。
 どこかあどけない仕草に、自然と頬が緩んだ。
「いま何時……?」
「七時だね」
「七時……」
「そろそろ起きる?」
 ん、と頷いた紬は、ぱちぱちと瞬きをした。そして改めてこちらを見上げてくる。
 何か言いたいことがあるのかと見つめ返すと、はにかんだ笑みを浮かべた。
「あの……、おはよう、雪輪君」
 もう何度もこうして同じベッドで目を覚ましたというのに、いまだに恥じらう彼に、たまらない愛しさが湧く。
 ほんとにかわいい。つむ君よりかわいいものは、この世には存在しない。
「おはよう、つむ君」
 目を細めて微笑んだ雪輪は、彼の額にキスを贈った。紬はやはり恥ずかしそうに笑う。
「雪輪君、今日は仕事があるんだったよね」
「うん。午後からだけどね。だから今日はつむ君と一緒に列車に乗れないんだ」
 そっか、と応じた紬は、少しだけ残念そうに眉を寄せた。あくまで少しだけ、だ。よくわからないが、鉄道に乗るのが好きな鉄道オタク――乗り鉄は、単独行動が基本らしい。列車に乗ることさえできれば、一人でも平気なのだ。
 つむ君らしいけど、鉄道に取られるみたいでちょっと妬ける……。
「気を付けて行ってきてね」
 でもいいんだ。僕はつむ君にキスできるけど、鉄道はつむ君にキスできないし。
 そんな子供じみたことを思いつつ、もう一度紬の額にキスをすると、彼はくすぐったそうに首をすくめた。そして遠慮がちにではあるが、ちゅ、と雪輪の顎にキスを返してくる。
「来週の日曜は雪輪君、仕事入ってないって言ってただろ。俺も来週は列車に乗りに行かないから、ずっと一緒にいよう」
 ね、という風に小さく首を傾げた紬に、雪輪は赤面してしまった。鉄道に妬いていたことを見抜かれていたようだ。
 人に妬くならまたしも、鉄道に妬くなんて恥ずかしい。
 けれど紬が嫉妬に気付いてくれて、なおかつ気にかけてくれたことは、胸が熱くなるほど嬉しかった。
「ありがとう、つむ君。大好き」
 ありったけの想いを込めて囁くと、紬は瞬きをした。たちまち滑らかな頬が桃色に上気する。
「俺も、好き」
 照れくさそうに言われて、雪輪は我慢できずに紬をぎゅっと抱きしめた。紬も同じくらいの強さで抱きしめ返してくれる。
 こんなにかわいくて優しいつむ君と恋人になれて、僕はほんとに幸せだ。











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