腹八分目

ボーイズラブ(BL)作家・久我有加のブログです。

「小説ディアプラス アキ号」発売

本日、9月20日発売の雑誌「小説ディアプラス アキ号」(新書館)に掲載していただいています。
イラストは、伊東七つ生先生です。
大正時代の大阪が舞台の時代もので、偏屈小説家×純情編集者です。
どうぞよろしくお願いいたします。


拍手や拍手コメントをくださった方、ありがとうございました! とても嬉しかったです。
またお時間のあるときにでも、ぜひお越しくださいませ。











スポンサーサイト

PageTop

応援

気が付けば、前回の更新から一ヵ月が経っていました…。
元気です。生きています。
あと一歩がんばって! とカー●を応援したり、最近のマイ推し力士、かが●きを応援したり、相変わらず野球と相撲を楽しむ毎日です。

拍手や拍手コメントをくださった方、メールフォームからメッセージをくださった方、ありがとうございました。とても嬉しかったです!
お時間があるときにでも、またぜひ覗いてやってください。











PageTop

番外編SS更新しました

『片恋の病』の番外編を更新しました。
もしよろしければ読んでやってください。

このSSを書いていたらカレーが食べたくなったので、カレーの材料を買ってこようと思います。次の日に出汁を足して、カレーうどんにして食べるのが好きです。

拍手や拍手コメントをくださった方、ありがとうございました! とても嬉しかったです。
かようにマイペース更新のブログですが、またお時間のあるときにでも覗きに来てやってくださいませ。











PageTop

カレーライス(『片恋の病』番外)

拙著『片恋の病』の番外編で、本編から約十一カ月後の由と深野の日常話です。
特に何も起こらない話ですが、それでもいいよ、という方はどうぞ。



 鷹司由は鍋をおたまでかき混ぜた。
 鍋の中身はカレーだ。具はジャガイモ、タマネギ、ニンジン、牛肉である。ルーは市販の中辛。隠し味にウスターソースを入れる以外は、特別変わったところがないごく普通のカレーである。付け合せも、スーパーで売っている一般的な福神漬けだ。
 深野はこのカレーの何がそんなに好きなんやろ……。
 外食するとき、深野はほとんどカレーライスを食べない。特にカレー好きというわけではないらしい。
 しかし夕飯を作るから何が食べたいと尋ねると、決まってカレーと返ってくる。久しぶりに二日連続で休めることになった今日も、やはりカレーが食べたいと言われた。あまり手間がかからないから助かるが、なぜ毎回カレーなのかは謎だ。
 全国漫才コンテストで優勝してから約十一ヶ月。東京で二本、レギュラー番組が決まった。全国放送のラジオでも冠番組を持たせてもらえることになった。ブレイクとまではいかないが、かなり知名度は上がったと思う。大阪でも以前より頻繁に声をかけられるようになったので、今日は深野のマンションでゆっくりすごすことにしたのだ。
 とはいえ今、深野はマンションにいない。午後にひとつだけ単独の取材が入っていたので、事務所へ出かけていった。
 全漫で優勝しても、由と深野が浮かれることはなかった。今は優勝コンビだから露出が増えているだけだ。次の優勝コンビが出てくるまでの一年間にひとつひとつの仕事に真剣に取り組み、なおかつ結果を残さなければ、あっという間に忘れられてしまう。実際、優勝したにもかかわらず、レギュラー番組を獲得できなかったコンビを何組も見てきた。
 今年の全漫の決勝まで、残り一ヶ月。とりあえず第一の波は乗り越えられたと思う。
 ちなみに今年の最有力優勝候補は『オレンジグミ』だ。ダークホースとして『さんご』の名前もあがっている。
 今、こうやって穏やかでいられるんは、深野と両想いになれたおかげやろな。
 精神的に落ち着いたせいか、状況がよく見えるようになった。東京という慣れない環境で仕事をするにあたって、その冷静さは大いに役に立ち、大阪で培った力を存分に発揮できたのだ。
 また、テレビやラジオの仕事が入ったからといって、漫才をおろそかにしなかったことも大きい。今も大阪と東京で、それぞれ週に一度は舞台に上がっている。深野と漫才をするときは、やはりどんな瞬間よりも幸せを感じる。その幸せが、由に力をくれる。
 ふいに玄関が開く音がした。ただいま、という深野の声が聞こえてきて、おかえり、とキッチンから返す。
 何気ないやりとりだが、胸が温かくなった。当たり前に、ただいま、おかえり、と言い合えるのは幸せだ。
 ドアを開けて入ってきた深野は、マフラーをはずしながら嬉しそうに笑った。
「ええ匂い」
「普通のカレーの匂いやけどな。取材お疲れさん」
 ん、と応じた深野はキッチンに歩み寄ってきた。鍋の中を覗き込み、二重の瞳を細める。
「めっちゃ旨そうや。作ってくれてありがとう、由」
「や、これぐらいたいしたことないから。ていうか、もっと旨いもんいっぱい食べさしてもろたやろが」
 東京で仕事をするようになって、全漫の審査員だった『バンデージ』の土屋や『パイロットランプ』の城坂に、高級な鮨屋や焼肉店等に連れて行ってもらった。正直、土屋や城坂と一緒に食事をとっているという事実だけで緊張してしまい、味はよくわからなった。
 一方の深野はそんなときですら飄々としており、美味しいですと言いながらもりもりと高級料理をたいらげた。やっぱりこいつは大物やなと感心したのは言うまでもない。
「ご馳走してもろたもんは旨かったけど、俺が好きなんは由のカレーや」
「一応他にもハンバーグとかパスタとか作れるんやけど。なんで毎回カレーやねん」
 おたまで鍋をかきまわしながら尋ねると、深野は首を傾げた。
「全然仕事もらえんかった若手の頃、ときどき作ってくれたやろ」
「ああ? あー、そうやったっけ」
「そうや。自分で作るカレーとか実家のカレーとか、朝子さんのカレーより、由のカレーが一番美味しい思てん。今も由が作ってくれるんが一番好きや」
 あっさり言ってのけた深野を、由は呆気にとられて見上げた。
「市販のルーを使た普通のカレーやぞ」
「けど由が作ってくれたカレーや」
 深野はニッコリと笑う。毎回カレーを食べたがることを考えると、世辞ではないのだろう。
 カレーは市販のルーを使ったとしても、作る人によって微妙に味が異なる。由のカレーが深野の定番になったのなら悪い気はしない。
 ていうか、かなり嬉しいかも。
 頬を緩めた由だったが、朝子さんのカレーより、という言葉が気になった。
「おまえ、まさか朝子さんに由のカレーが一番好きやて言わんかったやろな」
 じろりとにらむと、深野は首を横に振った。
「言うてへんで。誰のカレーが一番好き? て聞かれへんかったからな」
 聞かれたら答えていたとわかる物言いに苦笑する。朝子が尋ねなくて本当によかった。もし結婚していた当時、深野が由のカレーが一番やと言っていたら、彼女を傷つけることになっただろう。
「これからも言うなよ」
「朝子さんにか?」
「そうや。まあ、もう聞かれへんと思うけどな」
 わかった、と深野は真面目に返事をした。
 恋人になってからも深野のマイペースさは変わらないが、由が嫌だと感じることはしないでおこうと気を付けているのがわかる。規格外の変な男が、自分なりに思いやってくれるのが嬉しい。
「よし、できた。よそっとくから手ぇ洗てこい」
 火を止めて言うと、深野は嬉しそうに頷いた。弾むような足取りで洗面所へ向かう。
 好物を目の前にした小学生のようで、思わず笑いが漏れる。
 深野と一緒にいて、こんなに穏やかで満たされた気持ちになるなんて、一年前は想像したこともなかった。
「由」
 リビングのドアの前で立ち止まった深野が呼ぶ。
 皿を出していた由は、ん? と振り返った。
「好きや」
 ふいに真剣な顔で言われて、きょとんとする。
「なんやねん、急に」
「今、めっちゃ好きやなあて思たから」
 深野はやはり真剣に返してくる。
 やっぱり変な奴や……。
 しかしそんなところも愛しい。
「カレー作ってもろたから好きやて思たんやろ」
「そうかもしれんけど、それだけやない。由がうちにおって、おかえりて迎えてもらえて、なんかめっちゃ幸せやなて思てん」
 こちらを見つめる二重の瞳が優しく緩む。
 深野も自分と同じように感じていたとわかって、熱い想いが込み上げてきた。十年以上の間、何度も飲み込んできたそれを、今はもう飲み込む必要はない。
「俺も、好きやで」
 心のままに告白すると、深野はさも嬉しげに笑った。
「今、めっちゃ好きやて思たんか?」
「まあな」
「同じやな」
「ああ、同じや。それより、早よ手ぇ洗てこい」
 急に照れくさくなってきて、しっしっと追い払う仕種をする。
 うんと頷いた深野は、今度は踊るような足取りで部屋を出て行った。
 久しぶりに二人で食べるカレーライスは、きっとどんな高級料理よりも美味しく感じられるだろう。











PageTop

『片恋の病』特典情報

8月10日頃発売予定の『片恋の病』(新書館ディアプラス文庫)の特典の情報が、ディアプラスさんのサイトに載っています。
もしよろしければチェックしてやってください。


拍手や拍手コメントをくださった方、ありがとうございました。とても嬉しかったです!
次は『片恋の病』の番外編SSを更新する予定ですが、発売日より遅れると思います…。
前回に引き続き申し訳ありません。
ご興味を持たれましたら、覗きに来てやってくださいませ。
よろしくお願いいたします。










PageTop